犬猫の出産について
犬と猫の出産について
妊娠や出産、帝王切開による出産の可能性がある場合は、事前にご相談ください。
基本的に妊娠がわかった時点で受診していただき、定期的に母体と胎児の検査を受けましょう。
また、難産になった場合は胎児だけでなく、母体も危険にさらしてしまうため、そうなった場合の受け入れ先の確保(かかりつけ医だけではなく、夜間・救急病院の把握や事前連絡)など出産前の準備が大変重要となります。
発情出血後にお腹が大きくなってきた、去勢手術をしていない雄犬と一緒にいた、など気になることがあれば早めに受診をしましょう。
妊娠の可能性がある場合の受診の流れ
①交配してから28〜30日目を目安に妊娠の診断にご来院ください。
腹部の超音波検査をし、胎児の入っている胎腔を確認します。
胎児と胎水が認められ、胎児の心拍が観察できます。(超音波検査では頭数まではわかりません)
②妊娠を確認したら、妊娠45〜50日目を目安にレントゲンで胎児数の確認をします。
この時期は胎児の骨の形成が進むため、胎児数、胎児異常の有無、骨盤と胎児の大きさの比較をし、自然分娩が可能かどうかを判断します。
小型犬の場合は骨格が薄いので日数を要する場合があります。
③その後は人間と同じように、母体と胎児の状態により、出産予定日まで定期的に受診していただきます。
妊娠期間について
犬と猫の妊娠期間は約2ヶ月(犬63日、猫65日)です。
出産予定日の目安になる為、交配した日付は必ず記録しておきましょう。
出産時の注意事項
妊娠が分かった時点で産床の準備をし、出産する場所に慣れさせておきましょう。
出産予定日が近づいたら毎日同じくらいの時間に基礎体温を測りましょう。
出産が近づくと床や寝床をかいて落ち着きがなくなり、食欲の低下や頻尿が認められます。
いつもより体温が1〜2度下がり、陰部を舐め出したり、パンティング呼吸をしだすといよいよ出産間近です。
出産は大変デリケートなことです。出産中は静かにし、部屋をやや暗くし、一人にして見守ってあげてください。
動画・写真撮影、じっと観察する、しつこくかまうなどはしないようにしましょう。
帝王切開について
帝王切開はあらゆる治療・手術の中でも特に緊急性が高く、他の治療をすべて後回しにしてでも優先するべき処置です。また、麻酔を管理する人・手術をする人・胎児をとりあげる人、などたくさんのスタッフを必要とする手術となります。
そのため、当院で妊娠の診断および経過を追えていないケース、早朝や夜間の緊急帝王切開のケース(スタッフの確保が困難な場合)など、状況により対応できかねます。
当院で帝王切開を希望される場合は、当院での妊娠診断や妊娠中の定期的な検査を受けられる方が対象です。
他院から紹介の場合は、必ずかかりつけ医を通じてご予約の上、事前に受診(妊娠中の定期的な検査も含む)をお願いします。
帝王切開は一般的には自然分娩が不可能と判断された場合におこなう緊急の手術です。
犬は安産の象徴と言われていますが、犬や猫では一度に複数の胎児をかかえたり、反対に1頭だけのときもあったりで、帝王切開での出産となる場合もあります。
ブルドッグ、パグ、ボストンテリアなどの短頭種で頭部が大きい犬種やチワワやプードルなどの小型の犬種で母体が小さい場合は難産になる可能性が高く、帝王切開による出産が必要となるかもしれません。
以下の場合は難産と診断され、獣医師による緊急の処置が必要です。
- 直腸温が37度以下になって、24時間経過しても分娩が始まらない(陣痛が起こらない)
- 強い陣痛が30分以上続いているのに産まれない
- 第一破水から2〜3時間経っても産まれない
- 陣痛と陣痛の間隔が長く、または陣痛が微弱で陣痛開始から4〜6時間続いているのに産まれない
- 1頭を出産後、次の胎児が4時間以上産まれない
- 母体の体力が激しく消耗している、または激しい痛みを示している
- 胎児が途中で詰まっている
- 予定日から70日以上経過している場合