来院数の中でも多くの割合を占める尿に関する病気。
今回はその中でも放っておくと恐ろしい、尿石症について取り上げます。
【尿石症とは?】
尿石は、おしっこの中のミネラルとタンパク質がくっ付いて石のようになったものです。
・おしっこを作る腎臓
・作られたおしっこを膀胱へ運ぶ尿管
・おしっこを溜めておく膀胱
・おしっこを体の外へ出す通り道の尿道
これらのどこかで結石ができて、上手くおしっこが出せなくなってしまいます。
最悪の場合、結石が詰まってしまい急性腎不全などを起こし亡くなることもあります。
結石にはいくつか種類がありますが、代表的な2種類についてお伝えします。
①ストラバイト結石
おしっこがアルカリ性に傾くことで作られます。
膀胱炎などの尿路感染症が原因で、アルカリ尿になることが多いです。
猫の尿石症の多くがこのストラバイト結石です。
犬ではメスに多いと言われています。
犬でかかりやすい犬種として、
ミニチュア・シュナウザー、プードル、コッカー・スパニエルなどが挙げられます。
早い段階であれば、食事療法で結石を溶かすことができます。
②シュウ酸カルシウム結石
酸性尿で作られます。
血液中のカルシウムの濃度が何らかの原因で上がると、シュウ酸と結合して結石を作ります。
犬ではオスに多いと言われています。近年猫での発生も増えています。
食事で溶かすことができないため、手術で取り除きます。
犬で、ミニチュア・シュナウザー、プードル、シーズー、ヨークシャテリアに多いので注意しましょう。
【症状】
・何度もトイレへ行く
・排尿のポーズは取るがおしっこが出ていない
・トイレ以外でのおしっこが増える
・血尿(赤~ピンクを想像するかもしれませんが、茶色のおしっこでも血液の成分が検
出されます。)
・痛そうにおしっこをする
・元気食欲が落ちる
【予防方法】
予防としてできる対応策をまとめました。
水分摂取量を増やす
濃くて少ないおしっこは結石ができやすくなります。
水をこまめに新鮮なものにしてあげることや、飲水場所を増やしたり、
ドライフードをふやかすことで水分を増やしてあげましょう。
特に猫は元々水分摂取の少ない動物なので注意が必要です。
普段の飲水量を知っておくことで、
おしっこの病気に限らず様々な病気の早期発見に繋がります。
正常な飲水量の目安として、
犬:一日で体重1kgあたり50~60ml
猫:一日で体重1kgあたり20~30ml
運動させる
運動することでのどが渇き、水を飲んでくれます。
肥満予防にも運動は大切ですね。
トイレの場所や環境を見直し、おしっこを我慢させない
多頭飼育の猫は、頭数プラス1のトイレの設置が理想的です。
食事に気を付ける
安価な食事は栄養バランスが偏りがちです。
また、野菜・魚・肉の与えすぎにも気を付けましょう。
早期発見のために、
日頃からおしっこの出方、回数、色、臭い、量を観察しておくことが大切です。
おしっこをお持ちいただければ、尿検査は院内で簡単に行うことができます。
専用の容器を無料でお渡しできますが、
お持ちでない場合はカップやお弁当の醤油差しに入れてご来院ください。