飼い犬が予期せぬもの(ゴミ、おもちゃ、ペットシーツ、乾燥剤、チョコレートなど)を食べてしまいました。どうすればいいですか?
という、質問をよくいただきます。
まずは、慌てずに下記を確認し、動物病院に連絡してください。
- なにを食べたか?
- どれくらい食べたか?
- いつ食べたか?
- 犬種や犬の大きさ(体重)はどのくらいか?
誤食したもの、量、時間帯、犬の大きさによって対応は様々です。
診断や処置の一助となりますので可能であれば誤食したものをお持ちください。
誤飲・誤食の場合は、自己判断せずに必ず動物病院に連絡してください。
病院における誤食した場合の対応
誤食に対する対応は「催吐処置(さいとしょち)」「内視鏡による摘出」「外科手術による摘出」、「活性炭などの毒素吸着剤の投与」など様々なものがあります。
それぞれの処置について、ご説明します。
催吐処置
文字どおり吐かせて誤食したものを出す処置です。誤食をして2〜3時間以内であれば吐かせて出すことで対応できるケースが多いです。しかしながら「症状が出ていないからまぁいいか」、「明日には便に出てくるだろう」 と楽観的に様子を見てしまうと消化管で詰まり、内視鏡による摘出や外科手術が必要となることがあります。また、誤食して3時間以上経過していたとしても、ものによってはまだ異物が胃内に残っていて対応できるケースもあります。とにかく大切なのは、気付いたらすぐに対応していただくことです。
内視鏡による摘出
吐かせる処置を行っても出てこない異物は、全身麻酔をかけ内視鏡による摘出が必要になることがあります。しかし、以下のような場合には内視鏡で取り出すことが難しく、外科手術による摘出が必要になることがあります。
- 大きすぎる異物
- 完全に詰まっている異物
- 十二指腸よりも先にある異物
外科手術による摘出
吐かせる処置や内視鏡による摘出が難しい場合には全身麻酔をかけ外科手術による摘出となります。
胃内異物であれば胃切開で済みますが、小腸で詰まっていた場合には腸切開が必要となります。さらに重症化すると腸閉塞から腸の壊死を生じ腸切除吻合術(腸の一部を切り落としてつなげる手術)が必要となります。手術による入院期間は3〜7日程度のことが多く、術後フードをふやかしてあげる、回数を分けてあげるなど消化管に配慮した食事管理が一時的に必要となります。
活性炭など毒素吸着剤の投与、その他
中毒を起こすようなもの(例えば殺虫剤、殺鼠剤、チョコレートなど)を摂取した場合には吐かせる処置に加え、毒素の吸収を防ぐために、胃の洗浄処置や毒素の吸着剤の投与を行うことがあります。
飼い主さんが気をつけるべきポイント
誤食した際の代表的な処置についてお話させていただきましたが、飼い主様に気をつけていただきたいことは2つです。
- 誤食を未然に防ぐように努めること
- 万が一誤食に気づいた場合はできる限り早く動物病院で状況に応じた処置をしてもらうこと
誤食に対する処置は犬にとっても辛いものです。うちの子は大丈夫と過信せずに日頃から気をつけましょうね。
また、最初にもお話しましたが、誤飲・誤食に気づいたときは自己判断をせずに、必ず動物病院に連絡するようにしてください。それが、愛犬を守ることになります。